腸活の基礎知識と、すぐに始められるおススメ方法

インナービューティーの一環として、腸活への注目が高まっています。
腸活には、便秘や下痢の改善だけでなく、肌の調子が良くなったり、病気のリスクが低下したりするなど、様々な効果が期待できます。
しかし、腸活に興味はあっても「何から始めたらよいのか分からない」という方もいるでしょう。
そこで今回は、腸活を始める上で身に付けておくべき基礎知識から、自分の腸内環境のチェックの仕方、すぐに始められる腸活の方法までご紹介していきます。
効率良く腸活をするためにも、ぜひ参考にしてみてください。

腸活を始める前に基礎知識を身につけよう!

効率の良い腸活のためには、事前に腸内環境についての基礎知識を身に付けておくことが重要です。
ここでは、腸内環境と最も密接なつながりのある「腸内フローラ」について解説します。

腸内フローラって何?

私たちの体には、あらゆる場所に細菌が棲みついていますが、そのうちの9割が腸の中に棲みつく腸内細菌といわれています。
人の体に存在する腸内細菌の種類は1,000以上もあり、種類ごとに集団を形成して腸壁に張り付いています。
その集団を、品種ごとに並んで咲く花畑に例えて、「腸内フローラ」と呼ぶのです。
腸内フローラは大きく分けて、善玉菌と悪玉菌、そのどちらにも属さない日和見菌という3タイプの細菌で構成されています。
善玉菌には、乳酸や酪酸、酢酸などを作り出し、悪玉菌が増えるのを抑える働きが、悪玉菌には、毒素や発がん物質を作り出したり、腸内の腐敗をすすめたりする働きがあります。
日和見菌は、善玉菌が優勢な時は善玉菌につき、悪玉菌が優勢な時は悪玉菌について、それぞれと同じ働きをします。

腸内フローラのバランスが乱れると

善玉菌・悪玉菌・日和見菌の理想的なバランスは、2:1:7とされており、このバランスが保たれていれば、腸内フローラは良い状態といえます。
しかし、何らかの要因で腸内フローラのバランスが崩れると、便秘や下痢などのお腹の不調が起きやすくなります。
また、悪玉菌が作り出す有害物質は、腸に直接ダメージを与えたり、血液に乗って全身に運ばれた結果、免疫力の低下や様々な病気を引き起こしたりすることもあります。

腸内フローラのバランスが乱れる原因

腸内フローラのバランスが乱れる一因は、加齢です。
腸内細菌は生まれたときから腸内に棲みついていますが、乳児の頃は善玉菌の1種であるビフィズス菌が最も優勢となっています。
ところが、60代以降になるとビフィズス菌が減少し、ウェルシュ菌などの悪玉菌が増加していきます。
食事や睡眠といった生活習慣も腸内フローラのバランスに大きな影響を与えます。
例えば、たんぱく質や資質の多い食事や過度の飲酒は悪玉菌の増殖を促します。また、寝不足や不規則な生活リズム、ストレスなども腸内フローラのバランスを乱します。
腸内フローラのバランスを整えるには、食事や生活習慣の見直し、適度な運動を取り入れるといったいわゆる「腸活」が効果的です。

まずは、自分の腸内環境をチェック

腸活を始める前に、まずは自分の腸内環境がどのような状態になっているかを知っておく必要があります。
最近は、腸内フローラを詳しく調べられる検査キットも出てきましたが、利用するには少しハードルが高いと感じる方もいるようです。
そこで、手軽に自分で腸内フローラの状態を知りたい方には、便を観察する方法がおすすめです。
観察する際は、以下の3ポイントをチェックしてみてください。

頻度

お通じの頻度は人それぞれであり、毎日出ないからといって腸内環境が悪いとは限りません。
少なくとも週に3回以上、それも1日おきなど定期的にお通じがあれば、腸内環境は良好といえます。
ただし、強くいきまないと出なかったり、残便感があったりする場合は、腸内環境が悪化している可能性があるため、以下の見た目や硬さ、ニオイも合わせてチェックしてみましょう。

見た目や硬さ

理想的な便は、表面が滑らかでソーセージ状です。
それに対して、コロコロとして硬かったり、液体状で水っぽかったりする場合は、腸内フローラが乱れていることが考えられます。
便の形状や硬さを7段階分類した「ブリストル便形状スケール」を参考に、確認するとより分かりやすいです。

ニオイ

腸内フローラが良好な状態であれば、便がそれほど強く臭うことはありません。
しかし、腸内フローラのバランスが乱れ、ウェルシュ菌などの悪玉菌が増えると、便のニオイは不快さを増します。
便の不快なニオイの正体は、善玉菌が作り出すアンモニアや硫化水素、インドールといった腐敗物質です。
悪玉菌は、たんぱく質や脂肪をエサにして増殖します。
たんぱく質や脂肪を多く含む肉中心の食生活を送っていると、悪玉菌が活発になって便やガスのニオイがきつくなるのです。

すぐに始められる腸活の方法

便の状態をチェックして腸内環境をある程度把握したら、さっそく腸活に取り組みましょう。
ここでは、すぐに始められる腸活の方法をご紹介していきます。

食事を見直す

腸活の基本は、なんといってもバランスの良い食事です。
ご飯などの穀類を「主食」として、肉や魚、大豆、卵などのたんぱく質がメインの「主菜」、野菜や海藻、キノコなどの「副菜」、そこに味噌汁などの「汁物」を組み合わせた定食が理想です。
特に、食物繊維を多く含む野菜や海藻、キノコ類は、便秘解消だけでなく、腸内の酪酸菌を活性化させ、肥満予防や免疫機能を整える効果があるといわれているので、毎日取り続けることが重要となります。
さらに、自身の年齢に見合った1日の摂取カロリーまで意識すると、ほぼ完璧といえます。

適度な運動を取り入れる

デスクワーク中心の仕事などで日頃から運動不足の人は、アクティブに活動している人と比べて、善玉菌が少ないとの報告もあります。
運動不足を実感している方は、日常に適度な運動を取り入れると、腸のぜん動運動が促され、善玉菌を増やす効果が期待できます。
いきなり激しい運動をするのではなく、30分程度のウォーキングのように少し息が上がり汗ばむくらいの運動を、週3回行うところから始めるのがおすすめです。
また、便秘解消には、腸腰筋と呼ばれるインナーマッスルを刺激するようなストレッチも有効です。

ストレスの解消

腸と脳は、密接な関係にあることが知られています。
一説には、強いストレスを感じると腸内細菌の種類が減少し、腸内フローラのバランスが乱れるともいわれています。
仕事やプライベートで大きなストレスを抱えている方は、音楽や読書、運動など、ストレスを解消できるような趣味を探してみましょう。
日光を浴びたり深呼吸をしたりするだけでも、ストレス緩和に効果があります。
入浴や睡眠でしっかりと休息をとることも大切です。

発酵食品やサプリの摂取

発酵食品に含まれる発酵菌は、善玉菌の仲間そのものです。
そのため、納豆やキムチ、漬物、甘酒などの発酵食品を食べることで、腸内環境を整えることができます。
ただし、発酵食品の中でもヨーグルトは、その人の体質によって合う・合わないがあり、せっかく食べ続けても効果がない可能性があるため注意が必要です。
発酵食品を毎日、食事から摂取することが難しいという方は、サプリメントで補うのも一つの方法です。

腸活で腸内フローラのバランスを整えると、お腹の調子を整えるだけでなく、生活習慣病やがん、うつ病など様々な病気の予防につながります。
まずは、日頃の便をチェックして、自分の腸内環境がどのような状態か把握することが大切です。
定期的に便通があっても、便が硬かったり液状だったり、ニオイが強かったりする場合は、悪玉菌が優勢になっていることが考えられるため、腸活を行って腸内環境の改善を図りましょう。
腸活の中でも、食事の見直しはすぐに始められます。
食物繊維の多い食べ物や発酵食品を取り入れる、善玉菌の働きを助けるサプリメントを摂取するなど、できるところから少しずつ取り組んでみてください。